栄養不足の症状は、「食事を満足に食べられていない人」だけに起こるものではありません。現代では、食べる量は足りていても特定の栄養素だけが慢性的に不足するケースも広がっており、高齢者から若い世代まで、誰もが当事者になり得ます。ここでは、栄養が不足しやすい代表的な2つの状況について、それぞれの背景とリスクを紹介します。

栄養不足の症状かも?体重減少・めまい・頭痛などの原因とおすすめの対策

この記事では、栄養不足が起こる原因や主な症状、受診判断の目安、今日から取り組める対策まで分かりやすく解説します。
- 栄養不足には、高齢者がなりやすい「低栄養」と、一人暮らしや若者がなりやすい「新型栄養失調」がある
- 栄養不足の主な症状には、体重減少・筋力の低下や、倦怠感、めまい、頭痛などがある
- 栄養不足の対策としては、バランスの良い食事に加えてサプリメントや宅配弁当を活用するのがおすすめ
- 1現代でも起こり得る栄養不足とは?
- 1-1高齢者がなりやすい「低栄養」
- 1-2一人暮らしや若者がなりやすい「新型栄養失調」
- 2栄養不足の主な症状
- 2-1体重減少・筋力の低下
- 2-2倦怠感・めまい・頭痛
- 2-3貧血・立ちくらみ
- 2-4口内炎・肌荒れ・免疫の低下
- 3自分でできる栄養不足セルフチェック&受診の目安
- 3-1今すぐ確認|栄養不足の10項目セルフチェック
- 3-2医療機関を受診すべきタイミングの目安
- 4栄養不足の症状が出る前に|今から取り組める4つの対策
- 4-1栄養バランスを整える
- 4-21日3食規則正しく食べる
- 4-3食べるには運動も重要
- 4-4サプリメントや宅配弁当を活用する
- 5栄養不足への対策として日々の食生活を見直そう
現代でも起こり得る栄養不足とは?

高齢者がなりやすい「低栄養」
低栄養とは、身体に必要なエネルギーやたんぱく質・ビタミンなどの栄養素が慢性的に不足し、健康を維持できなくなっている状態を指します。
厚生労働省が実施した令和6年「国民健康・栄養調査」によると、65歳以上で低栄養傾向にある人の割合は19.5%にのぼりました。
加齢によって低栄養が進みやすい背景には、複数の要因が絡み合っています。
・身体面:噛む力や飲み込む力の衰え、消化機能の低下、買い物や調理への負担増加
・社会面:独居や外出機会の減少により食事内容が偏りやすくなる、生鮮食品の購入機会の減少
・精神面:死別などによる食欲低下、認知機能の低下による食事管理の困難化
これらの要因が重なると、食事量の減少→体力の低下→活動量の減少→さらなる食欲低下、という負の連鎖に陥りやすくなります。栄養不足の症状が現れる前に、日々の食事の変化に目を向けることが重要です。
出典:『令和6年「国民健康・栄養調査」の結果|厚生労働省』
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66279.html
一人暮らしや若者がなりやすい「新型栄養失調」
高齢者の低栄養とは別に、若い世代や一人暮らしの方に広がっているのが「新型栄養失調」です。
新型栄養失調は、カロリーとして食べる量は十分でも、たんぱく質・ビタミン・ミネラルといった特定の栄養素が慢性的に不足している状態のこと。極端なダイエットや、ファストフードなど栄養バランスが偏った食生活が続くことが主な原因で、エネルギーは足りていても身体に必要な栄養素は入ってこないという状況が起きます。
また、新型栄養失調は見た目に現れにくい点も特徴で、栄養不足の症状があっても「痩せていないから」「たくさん食べているから」と見過ごされやすく、対処が遅れがちです。
食生活の偏りは年齢を問わず起こり得るため、日頃から摂取する栄養素の種類に目を向けることが求められます。
栄養不足の主な症状

栄養不足の症状は、体重や筋力の変化として現れるものだけではありません。倦怠感やめまい、肌荒れのように「なんとなく不調」と感じる状態も、特定の栄養素が不足しているサインである場合があります。ここでは、見落とされやすい4つの症状と、それぞれに深く関わる栄養素について詳しく解説します。
・体重減少・筋力の低下
・倦怠感・めまい・頭痛
・貧血・立ちくらみ
・口内炎・肌荒れ・免疫の低下
体重減少・筋力の低下
食事量が減ると、体はエネルギー不足を補うために筋肉を分解してエネルギー源として使おうとするため、体重と筋肉量が同時に落ちていきます。
特に深刻なのは、たんぱく質が慢性的に不足している場合です。筋肉の材料となるたんぱく質が十分にとれていないと、筋肉量の減少がさらに加速します。
また、筋力が落ちると、買い物や料理といった身の回りのことが億劫になり、さらに食事量が減るという悪循環により、日常生活に悪影響が生じる恐れもあります。
倦怠感・めまい・頭痛
栄養不足の症状は、「なんとなく体がだるい」「頭が重い」「めまいがする」といった日常的な不調として現れることも少なくありません。
倦怠感との関わりが深いのは、ビタミンB群です。ビタミンB群は、食事からとった栄養素をエネルギーへと変換する際に欠かせない存在で、不足すると体内でエネルギーがうまく作られず、十分に休んでも疲れが取れない状態が続くことがあります。
また、鉄分が足りなくなると、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンが減少し、脳への酸素供給が滞ることで、めまいや立ちくらみ、倦怠感が起きやすくなります。食事量が少ない方や偏食気味の方は、知らず知らずのうちに鉄分が不足していないか注意しましょう。
さらに、血糖値の低下もめまいや頭痛の原因になります。食事を抜いたり間隔が長く空いたりすると、脳に必要なエネルギーが届かず、ふらつきや頭痛といった症状が現れることがあるのです。
貧血・立ちくらみ
貧血とは、血液中のヘモグロビン量が低下し、全身への酸素供給が不足した状態を指します。鉄分の不足だけでなく、赤血球の生成に必要な葉酸やビタミンB12が不足することで生じる貧血もあります。
食生活で見落とされやすいのが、葉酸の不足です。葉酸は、ホウレンソウやブロッコリーなどに多く含まれますが、野菜が少ない食事が続くと不足しがちになります。一方、ビタミンB12を豊富に含むのはレバーや魚介類などで、植物性食品にはほぼ含まれていません。そのため、肉や魚を食べる機会が減っている方は意識的な補給が求められます。
口内炎・肌荒れ・免疫の低下
口内炎や肌荒れ、風邪をひきやすくなるといった症状も、栄養不足のサインである場合があります。
まず口内炎に深く関わるのが、ビタミンB2とビタミンB6です。これらは粘膜の新陳代謝を助けて正常な状態を保つ働きを持ち、不足すると口内炎ができやすくなります。レバーや青魚、納豆といった食品に豊富に含まれていますが、食事が偏っていると不足しがちな栄養素です。
肌荒れには、複数の栄養素が関与しています。ビタミンB2は皮脂の分泌量を調整する役割を担っているため、不足により肌トラブルにつながることがあります。また、ビタミンCはコラーゲン生成に関与し、肌のうるおいやハリを維持するために欠かせません。
さらに、亜鉛が不足すると免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなることが知られています。亜鉛はカキや赤身肉などに多く含まれる一方、食事量が少ない状態が続くと摂取量が自然と減ってしまいます。
自分でできる栄養不足セルフチェック&受診の目安

栄養不足の症状は、気づかないうちに進行しているケースが少なくありません。「なんとなく不調が続いている」と感じたときに、自分自身で状態を把握できる手がかりがあると安心です。ここでは、日常の変化から栄養状態を確認するためのセルフチェックリストと、医療機関への受診を判断する目安を紹介します。
今すぐ確認|栄養不足の10項目セルフチェック
栄養不足の症状は、日常のちょっとした変化から気づけることがあります。以下の10項目を確認してみてください。
・半年以内に2〜3kg以上の体重減少がある
・1日2食以下になることが多い
・以前より固いものが食べにくくなった
・お茶や汁物でむせることがある
・疲れやすく、体力の衰えを感じる
・めまいや頭痛が続いている
・皮膚の乾燥や肌荒れが気になる
・抜け毛が増えた
・風邪をひきやすくなった
・食欲がわかず、食事量が減っている
複数の項目に当てはまる場合は、栄養不足の症状がすでに進んでいる可能性があり、早めの対策が必要です。
医療機関を受診すべきタイミングの目安
半年以内に2〜3kg以上の体重減少がある方や、そこまでではないが体重の低下があり、かつ栄養不足の症状に心当たりがある場合は、かかりつけ医への相談を検討するとよいでしょう。
さらに、めまいや頭痛が日常的に続いている、食欲がわかない、体重が1ヶ月で2kg以上のペースで落ちているといった場合は、栄養不足の症状にとどまらず、疾患が背景にある可能性があります。早めに医療機関を受診することが大切です。
栄養不足の症状が出る前に|今から取り組める4つの対策

栄養不足の症状を未然に防ぐには、日々の習慣を少しずつ見直すことが着実な近道です。難しい食事管理や特別な努力は必要ありません。食事の内容・タイミング・体の動かし方、そして便利なサービスの活用まで、今日からでも始めやすい4つの対策を紹介します。
・栄養バランスを整える
・1日3食規則正しく食べる
・食べるには運動も重要
・サプリメントや宅配弁当を活用する
栄養バランスを整える
栄養不足の症状を防ぐためには、まず毎日の食事構成を見直すことが重要です。
基本となるのは、主食・主菜・副菜の3つをそろえた食事です。主食(ごはんやパンなど)でエネルギーを確保しつつ、主菜には肉・魚・卵・大豆製品などたんぱく質を豊富に含む食品を選ぶことで、筋肉量の維持だけでなく、皮膚や粘膜、免疫機能の維持にも欠かせない栄養素を補えます。
副菜には、緑黄色野菜や海藻類・きのこ類を積極的に取り入れると、ビタミンやミネラル・食物繊維など、食事で不足しがちな栄養素をまとめてカバーできます。特に高齢になると、カルシウムが不足しやすい傾向があるため、乳製品を毎日の食事に加える習慣もおすすめです。
食品の種類を増やすほど、特定の栄養素に偏らず、全体のバランスが整いやすくなります。
1日3食規則正しく食べる
食事の内容と同じくらい大切なのが、食べるタイミングと回数です。
朝食を抜くと、前夜からの空腹時間が長くなり、昼食後に血糖値が急上昇しやすくなります。これが眠気や集中力の低下を引き起こす原因にもなるため、1日3食を規則正しく食べることを心がけましょう。
また、筋肉の材料となるたんぱく質は、一度に大量にとっても吸収・利用できる量に限りがあるので、3食に分けて摂取するのがおすすめです。食事の時間をあらかじめ決めておくと、空腹感が自然と一定のリズムで現れるようになり、欠食しにくくなります。
食べるには運動も重要
食事の量や内容を整えるだけでなく、日常的に体を動かすことも、栄養状態を改善する上で重要な要素です。
活動量が減ると、消費エネルギーが少なくなり、食欲が湧きにくくなります。食欲が落ちれば食事量も減り、結果として栄養不足の症状が進みやすくなるという悪循環に陥りかねません。この悪循環を断ち切るために、適度な運動が役立ちます。
また、体を動かすことで腸が活性化され、栄養素の吸収効率が高まるといわれています。筋肉を維持する上でも、たんぱく質の摂取と運動はセットで考えることが大切です。
激しい運動は必要ありません。高齢の方でも、毎日の散歩や、室内での軽いストレッチ・体操といった無理のない範囲での活動を習慣にするだけで、食欲の改善や体力の維持が期待できるでしょう。
サプリメントや宅配弁当を活用する
食事だけで必要な栄養を全て補うことが難しい場合は、サプリメントや宅配弁当を上手に組み合わせるのも賢い選択です。
サプリメントは、食事で不足しがちな栄養素を手軽に補えます。ただし、サプリメントは医薬品ではないため、食事からの栄養摂取を基本に、「足りない栄養を補うもの」と考えましょう。また、特定の栄養素の過剰摂取を避けるために、商品ごとの目安量を守って使用することが大切です。もし、服用中の薬がある場合は、事前に医師や薬剤師へ相談することを推奨します。
宅配弁当は、調理の手間なく栄養バランスの整った食事を毎日確保できる点が大きなメリットです。管理栄養士などの専門家が献立を設計している宅配弁当であれば、届いた1食分を食べるだけで、栄養をバランスよく摂取できるでしょう。
栄養不足への対策として日々の食生活を見直そう

栄養不足は、体重減少や倦怠感、貧血、免疫低下など、日常生活に直結した症状として現れます。高齢者は食事量そのものが減少する傾向がありますが、それだけでなく、カロリーは足りていても特定の栄養素が慢性的に不足する「新型栄養失調」は、若年層にとっても他人事ではありません。
セルフチェックで気になる症状があれば早めに医療機関へ相談し、普段の食事では主食・主菜・副菜のバランスを意識することが基本です。調理が難しい場合は、宅配弁当やサプリメントを上手に取り入れることで、無理なくバランスを整えられます。
監修:栄養士 高坂恵子
本コラムに掲載されている内容は、一般的な栄養学・健康法に基づく情報であり、特定の商品の効果効能を保証するものではありません。日々の健康維持とバランスの良い食生活の参考としてお役立てください。
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